瞳の中の迷宮

趣味やゲーム、脱毛の記録とかを徒然と

フリーゲームRPG セラフィックブルー 読了

こんにちは、おおのです。

先日脱毛の日記が遅れたとありましたが、大半はこのゲームのせいでした。

 

2004年に発表されたフリーゲームRPGセラフィックブルー

友人におすすめされて9月頭から遊んでいたのですが、クリアできたのは今月の14日と、1ヶ月以上遊べた大ボリューム作品でした。どのようなゲームだったかをざっとまとめてみます。

 とにかく長いゲームでした。 そしてタイトルにもありますように、ゲームクリアというより読了と表現が個人的にしっくりきました。

 

ーーーーおはなしーーーーー

表面だけざっくりと紹介すると、『主人公が記憶喪失の女性と旅をして世界を壊そうとする悪いやつを倒して世界を救う物語』

と、RPGではありがちな典型的魔王系RPGに聞こえますが、尋常じゃなく複雑なお話作りになっていて、読んでて飽きなかったです。

序盤から終盤までうまく伏線が張り詰められていて、最終的にはほぼ回収してくれます。私はあまり記憶力もいい方ではないので序盤の伏線を覚えていなかったりしましたが。

お話は第○章という感じで章ごとに分けられて、さらにその中でEpisoad○○に小分けされています。クロノトリガーでいうセーブタイトルのような感じです。

 

ーーーーえぐさーーーーーー

商業用RPGではない、フリーゲームだからこその表現、描写のえぐさ、暗さ、残酷さがありました。えぐい描写はメタファーのようになら商業用RPGでも結構多く、プレイヤーに想像や思考をさせて精神に訴えかけてきます。ですがセラフィックブルーは非常に直接的に『えぐさ』というバットで後頭部から殴りかかってくる感じでした。メタファーだろうがシミリだろうがお構いなしです。

 

ーーーーバトルーーーーーーー

RPGといえば戦闘ですね。セラフィックブルーの戦闘は非常に難易度が高かったです。良く言えば『戦略的』悪く言えば『理不尽』

ツクールで作られているのですが、インターフェイスやバトルシステムなどは全部自作のプログラムなので、他のツクールゲーとは全く違うシステムでした。

『エレメント』というシステムがあって、そのシステムのおかげで戦略の幅が広がり、そのシステムのおかげであっというまに全滅します。

私はレベルを上げて物理で殴るタイプの人間なのですが、そのタイプの人間にこのゲームのバトルはかなり難しかったです。

チュートリアルらしいチュートリアルは無いのですが、いざエレメントを軸に戦うようになってきたら、敵が洗礼で教えてくれます。

クロノクロスをプレイしたことがある人なら、クロスのエレメントをわかりやすく、かつ凶悪にした感じと捉えて頂けると分かりやすいかと思います。

あと戦闘終了後に自動的にパーティーを回復してくれる『サプリメント』システムが優秀。サプリメントというHPTPタンクがあり、戦闘終了後にタンクの残り分回復してくれます、休みなしでの連戦などでこれをオンにしていると次の戦闘で回復してくれます。もちろんタンクが空になったら回復されませんので、アイテムをつかったり宿に泊まったりでタンクの回復が必要です。

 

ーーーーボリュームーーーーーーー

最後のセーブポイントで50時間でしたが、全滅回数も結構あったので実質70時間くらいは遊べたと思います。操作キャラも10人を超え、最大8つの装備の組み合わせも多く、レベルもMAX215と高く、すばらしいボリュームのゲームでした。

 

ーーーーBGM--------

大体がmidi音源で、MP3音源も少々。音楽はほとんどがフリー素材のものらしいのですが、音楽の使いどころが絶妙。曲もすばらしい物が多く、フィールド曲、戦闘曲はEpisoadが進むごとに変わっていきます。

しかしmidi音源なので現環境では正常に再生されずにドラムパターンのみの曲になることが多かったです。私はセラフィックブルーの初期版をプレイしたのですが、後期版のディレクターズカットでは、ほとんどがMP3に差し替えられていますので、現環境でもしっかりとした曲を聴くことができます。

 

ここからはネタバレも含むかもしれない私の感想です。ちょっとでもプレイしたいと思った方は恐らく読まない方がいいと思われます。

長文おつきあい頂きありがとうございました。次の記事は次のゲームか、セラフィックブルーの前にプレイした天外魔境Ⅱの記事がかければと思っています。

 

 

このゲームが何を伝えたかったのかを終わってからずっと考えていたのですが、個人的にしっくりきたのは、『命の価値は平等じゃない』ということかなと私は思いました。

 

運命、使命に逆らうこと を伝えるのがこのゲームのプレイヤーサイドのテーマ、命の価値は平等じゃないということを伝えるのがエネミーサイドのテーマに感じました。

 

ここからはネタバレを含むかもしれない、私が気になった箇所を明記していきます。

 

ーーーー読了という言葉ーーーーーーーー

 ゲームクリアでは無く、私はこのゲームを読了という言葉で閉めました。それはこの物語が『ロールプレイングゲーム』からはかけ離れたものだと感じたからです。このゲームに置いて、プレイヤーは壮大なスケールのライトノベル、映画を見ているだけの傍観者の一人です。ひとえにロールプレイングをしていないということですね。

お話にそって一本道で進められていくストーリー、5分~30分くらいかかる会話イベントが大量に配置、大体の場面でレベル上げの必要がないくらいにポンポンあがるレベル、飛空艇を入手してからいろんな場所にいけるようになっても、特に行くところもなく一本道で終わるシナリオ(攻略等無しで遊んだので、私が見逃している可能性のほうが高いですが。)、キャラクターと共に成長して目標を達成するというRPGの定義のようなものが微塵も感じられません。確かにキャラクターは成長するのですが、本当に勝手に成長してそれを見守っているだけという感じに思えました。

これが作者の意図だったのかはわかりませんが、ちょっと私にはしっくりきませんでした。ライトノベルでよかったのではとも少し思いましたね。

 

ーーーーRPGとしての良さーーーーーーー

RPGとして世に放たれてよかったという点ももちろん数多くありました。

このゲームの難易度の高い戦闘システムでのスリリングなバトルはやっていて面白かったです。理不尽に全滅させられることも多々ありましたが、いやな気分になるタイプの理不尽さではなく、『あ、そういうことするの、なるほどね』といった次はどんな理不尽が来るのが楽しみになるような理不尽さでした(と、言いつつ壁を殴ること数回)。

このゲームのボス戦、基本的に初見殺しなボスしかいないのですが、一度全滅して、しっかりと対策を練ってまた挑んでも、事故ると全滅するというなかなか鬼畜なバランスでした。序盤こそ、レベルを上げて物理で殴れば対策もいらないものでしたが、後半になるにつれ、全体麻痺石化、パーティ全員に4個以上の状態異常、全員一撃死、無限ループなどと露骨に鬼畜になっていきます。

最後のほうは装備品で全部対策しきれないので、どこかを妥協しつつ、絶対に守らなければならないものだけ守り他は全力で対処するというゲームになっていました。

最近遊んだゲームにはこの難易度のものはなかったのでとても頭をひねりましたし、楽しめました。

あとシーンごとのBGM+セリフの熱さ。これはやはりゲームならではでしょう。ライトノベルでは挿絵はあれど、音楽で盛り上がるという要素がありませんからね。先ほどEpisoadごとにフィールドの音楽が変わると記述しましたが、最後のフィールド音楽が、序章のラストイベントのときの音楽だったのはちょっとうるっと来ました。

後半のイベントの途中で、会話→音楽が激しくなり会話が続く→そこから戦闘へ→戦闘画面でネクストエピソード突入でエピソードタイトル表示 の表現は一人で心底盛り上がりました。物語の核心に近いボスなのですが、そこの戦闘までのイベントが長く、全滅したらまたイベントを見直しとなって興ざめしてしまうことを考慮したような弱いボスに設定されていて、そこもお見事な調整という感じでした。

 

ーーーーキャラクターが薄いーーーーーーー

これは私がRPGを古い考えでプレイしているというのが悪いのだと思いますが、お話のスケールが壮大すぎて、キャラが小さい。キャラが生きていると感じられませんでした。

正直なところ、誰が主人公?って聞かれてここまで回答にこまるRPGにはじめて出会いました。結果的に全てのキャラクターが物語を繋いでくれているので必要ないキャラクターはいなかったのですが、無理やり点と点を繋いでるだけ感を少々感じました。色や個性はあるが魂が抜けた人形劇といった感じです。それ故に感情移入できるところも少なく、造語が多く読みにくかったり、ヒロイン的な女の子の口の悪さも相まってちょっとだけ読んでて疲れたなと思うところがありました。RPG的にいう『涙を誘ううまい死に方』を実演してくれているのにキャラの薄さで余韻が残らないといった状態です。

 

ーーーー敵はもっと薄いーーーーーーー

あとは本当に敵キャラが薄い。各章ごとに大きなボスはいるのですが、皆が皆小物でカリスマ性が皆無でした。これは味方が薄い故にお互いの感情の衝突が無かったことも原因の一つであると思います。憎しみを込めたセリフがとても薄っぺらいというイメージが最後の最後までぬぐえませんでした。

これは個人意見なのですが、RPGには『序盤から分かる倒すべき敵』がいると思うのです。これがラスボスとは限らないのですが、この倒すべき敵の存在感で、ゲーム全体の薄さが決まってしまうのではないかと思っています。

私も多くのRPGをプレイしている訳ではないのですが、FFで例えるならFF6ケフカFF7セフィロスFF8イデアFF9のクジャ、FF10のシンetc…

セラフィックブルーにもそのポジションのキャラはいました、それも数名、そして主人公達とのすばらしい因縁もありました。でも薄かったのです。遭遇したら、あっけなく死んでいってしまった、これでは盛り上がることなんて出来ません。そこが非常にもったいないと思いましたね。プレイヤー側がもっと憎み、倒したいと思い(薄くて伝わらなかっただけかもしれない)、ボスがもっと余裕を持ち、しっかりと切り札を持っていればそれだけで大きく変わったのではないでしょうか。

 

ーーーー作り込まれたキャラ設定や歴史ーーーーーーー

キャラが生きてないとは言いましたが、設定や歴史などの作り込みはお見事の一言です。私は友人に教わるまで気付かなかったのですが、ストーリー上でそのキャラごとの歴史、秘密などを知るごとに、メニューにあるキャラクター図鑑がどんどん更新されていきます。最初は名前もわからない銀髪の少女が後半ではしっかりとキャラ名、生い立ち、どのような立場で何をしているのか。まで、お話が進むとしっかり明記されます。図鑑にあるキャラクターがゲーム中に死ぬとちゃんとDead表記も乗るという徹底ぶり。終盤に入ってからこれを教わったので、ちょっともったいなかったなと思いました。

世界観や世界の構造などは本当に良く出来ていて、前半こそテクニカルタームが多すぎて読み飛ばしながら進めていましたが、物語が進むにつれてしっかりと回収しつつ、もう一度簡単に説明してくれているので、細かい部分は分からなくても大まかな世界全体像は私でもつかむことが出来ました。先程のキャラ達への不満は嘘ではありませんが、この世界観、物語が本当に面白かったのも嘘ではありません。

 

ーーーー匂わせる作りーーーーーーーーー

ゲームをプレイして、作者はたくさんのRPGをプレイしてたくさんのいいところを吸収してセラフィックブルーを仕上げたのだなと思える作りでしたね。

私の友人達がみな口をそろえて言う『ゼノギアスっぽい』が、私がゼノギアスをまだプレイしたことがないため分からないのが残念ですが。私が感じた中でも、クロノトリガークロノクロスヴァルキリープロファイルスターオーシャンなど多くのRPGのいいところを、セラフィックブルーに感じることができました。露骨な真似ではなく匂わせる程度でしっかりと独自の作りになっているところが素晴らしい。『こういうの、何かで見たような…あ、そうだクロノっぽいんだ』と感じられる作り。見事だったし、私も年齢が年齢なのでどストライクにハートをつかんでくれました。

 

さてさて良かったところとうーんと思ったところを羅列しました。他にも好きなキャラとか、回収されなかったエンデの野郎ォォォのところとか、書きたいことがたくさんあるのですが、まとまりもつかなく、後半になるにつれて矛盾も多くなってきてしまったので。気持ちを整理するためにひとまずここらでしめようと思います(しまっていない)

 

ここまで読んで下さったかたは本当にありがとうございました。そして読んで下さった方でも、物語を読むのがすきでお時間があれば、是非セラフィックブルーをプレイして頂きたいなと思います。良い結果であれ悪い結果であれ、いままで体験したことの無いRPGとなるのではないでしょうか。